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藍染めソケットプロジェクト ➀ 序章

義足のソケット(断端を収納する部分)は、通常残存する部位との違和感が生じないよう肌色の着色料を樹脂に混ぜて注型して仕上げるのが一般的です。弊社でも、ユーザー様から特段のご要望がない限り肌色が第一選択となります。

しかし、義足も“個性”のひとつという考え方からだと思われますが、欧米ではまるでファッションを楽しむかのように装着されているユーザー様もおられます。

私自身、そのような義足を製作する機会がないかと思っていた矢先、10年ほど前から若い下腿義足ユーザー様(以下H様)を担当することになりました。好きな柄でソケットを作ることができるとお伝えするととても乗り気になっていただき、ご本人持ち込みのTシャツの生地などで何度か製作してまいりました。毎回どんな生地で作ろうかと相談するのも楽しいのですが、近年はだんだんマンネリ化してきたのも事実です(笑)。

過去に手掛けたH様のソケット。
タイダイ染めのTシャツを使用。

そんな矢先、ご自身で藍染めした生地で義足ソケットを作るKYOTO gishi*designの安田伸裕さんの活動を知ることとなります。

KYOTO gishi*designの安田伸裕さんは、機能性を重視するあまり、得てしてデザイン性が置き去りにされがちな義肢装具を何とかしたいとの思いから、義肢装具士としての通常業務の傍ら、通信制芸大のテキスタイルコースの門を叩いて染色技術を学びました。

そこで出会った藍染めの技法に魅了され、自ら染色した生地を義足ソケットの材料に転用するなどの活動をされています。

※「ファッション性の高い、ユーザー目線の義肢装具を当たり前に普及させたい!」という安田さんの熱意や活動内容はnoteでご覧いただけます。是非ご一読ください。 (https://note.com/nice_holly825/

フォローしていたインスタグラムで深い藍色のソケットを目にした瞬間、「カッコいい!この生地を使ってみたい!」と思いました。そして、前回のブログで触れた下腿義足ユーザーのH様からソケット交換のご依頼があったタイミングで安田さんに藍染めの生地を提供していただけないか打診したところ、快諾していただくことができました。そして、安田さんからのご提案により、KYOTO gishi*design様の工房で生地選びとソケットの樹脂注型作業をさせていただく運びとなりました。

安田さんが製作された藍染めの大腿義足ソケット。
(提供:KYOTO gishi*design)

KYOTO gishi*design様のFacebookページ▶ https://www.facebook.com/KYOTO.gishi.design

KYOTO gishi*design様のinstagram▶ https://www.instagram.com/kyoto_gishi_design/

次回の記事はこちら▶藍染めソケットプロジェクト ② 生地選び – 義肢・装具の製作 冨金原義肢 (fukinbara-gishi.com

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